毅然とした男

35歳の起業家であり、法輪功修煉者でもある于溟氏は、高圧の電気棒で幾度もショックを与えられ、また、立つことも座ることもできない小さな鉄製の檻の中に３ヶ月間閉じ込められるなど、様々な虐待を受けました。

于溟氏は、北京五輪の準備の一環として行われた拷問を公に暴露したいという強い気持ちを抱きました。ベッドに横たわりながら、「強盗を計画」「盗みの準備」などを理由に刑期を言い渡された人々が、日に日に増して馬三家に到着するのを見ていました。

馬三家労働教養所では、法輪功修煉者を「転向」させるための拷問と恐怖が加速していました。

于溟氏にとって、これ以上、罪のない人々がこれほど過酷に拷問されることは見るに耐えられませんでした。また、北京五輪の開催権が与えられた後、中国で何が起きたのかを世界の人々が知るべきだと考えました。国際社会が期待するような人権改善とは全く逆に、五輪成功のため、中国当局は人々を迫害し、死に至らすこともありました。

馬三家労働教養所での過酷な状況が注目され、変化がもたらされることを願い、彼は手の込んだ計画を実行しました。2人の修煉者を逃亡させ、五輪報道のために北京に滞在している外国人記者と接触させるというものでした。

すべてうまく運び、2人は脱走しましたが、三日後に捕らえられました。中国に目が向けられている五輪の最中に、模範的な労働教養所からの脱走を試みたことは、中共政権の最高幹部を激怒させました。于さんと2人の脱走者は、死ぬ寸前まで拷問され、さらに1年の刑期が追加されました。

于さんは2017年に釈放され、2018年末にはタイに逃亡し、米国へのビザを取得しました。1月27日、12年近くの強制労働所や刑務所での生活を経て、サンフランシスコで妻と子供たちと再会しました。

手ぶらで来たわけではありませんでした。

于氏は危険を冒してタイに逃亡する前に、正式書類から隠しカメラで撮影された秘密の映像まで、中国で続く迫害の実態を記録した直接証拠を集めました。

この証拠を持っていることが発覚していたら、于氏は確実に刑務所に戻っていたことでしょう。二度と家族に会うことはなかったでしょう。しかし、彼は成し遂げました。今、自分が受け、目撃した虐待を暴くために、できる限りのことをしています。