欧米では政治的?

「法輪功は米国の特定の政治家に対して、積極的に支持/対立している」という誤った見解の分析をしていきます。

過去一年にわたり、いくつかのメディアが、エポックタイムズ紙が米大統領を支持し、創設者が法輪功であることが少なくともこの理由の一部だと主張しています。

法輪功自体が米国や西側諸国で特定の政治的志向にあるという、同様に誤解を招く報道もあります。

これらの報道には2つの重大な欠陥があります。

一つ目は、『大紀元』(エポックタイムズ)は数人の法輪功修煉者によって設立されましたが、独立した報道機関です。ニューヨーク・タイムズの発行人や決定権を持つ家族がユダヤ教徒であるにもかかわらず、ユダヤ教を代表したり代弁することがないように、『大紀元』(エポックタイムズ)も法輪功を代表したり代弁することはありません。

二つ目は、「法輪功の政治的志向」という表現は誤っています。法輪功の信念・実践に対する最も基本的な理解に欠くものです。

法輪功は政治とは関わらない

法輪功のコミュニティ及び法輪功の創始者である李洪志氏は、米国にもその他の地域にも政治的なつながりを持ちません。実際、李氏は法輪功修煉者に、修煉を政治に巻き込まないようにと繰り返し呼びかけてきました。もちろん、法輪功コミュニティの中には、自由主義者から保守主義者まで、幅広く様々な政治的信念を持つ人もいます。しかし、修煉者コミュニティは、グループやコミュニティとして政治に関与したり、特定の政治家を支持したりすることはありません。

さらに、法輪功の支持者を見ると、特に米国では完全に超党派の問題であり、そうあるべき問題です。

法輪功を支持し、中国での迫害を譴責する米国議会の決議はこれまでに5つありましたが、共同賛同者は両党にまたがっています。(米国議会の決議の詳細はこちらへ)

下院決議343は、民主党員83人、共和党員102人に支持されました。下院決議605は、民主党員40人と共和党員41人に支持されました。そして最後に、両院一致決議188は、民主党員62人と共和党員37人に支持されました。

ではなぜ、一部のメディアは法輪功には政治志向があると主張するのでしょうか?

中国共産党(中共)が疑惑を扇動している場合もあります。

中共は20年にわたり、欧米社会で法輪功の信用を落とそうとしてきました。法輪功を実践する人々に対する中共の残虐行為を訴える声を追いやることが目的です。このような活動には、世界の中国領事館の高官に、国外の法輪功修煉者を監視させ、信用を失わせることや、政府や企業に幅広く政治的・経済的な圧力をかけることなどが含まれます。このプレッシャーにより欧米の機関は、法輪功を支援する声を信用しないか、無視することを余儀なくされてきました。NBA(アメリカのプロバスケットボールのリーグ)、ハリウッド、その他の業界でこの状況は見られます。また、中共は欧米メディアにもかなりの経済的圧力をかけており、その多くが中国との経済関係を重視しています。

しかし、この問題をさらに悪化させているのは、ジャーナリストを含む欧米の多くの人々が、法輪功修煉者の信念(それが政治的であろうとなかろうと)形成の段階で見逃してはならない二つの要素を理解していないことにあります。

この二つの要素についてご説明しましょう。

伝統文化とのつながり

法輪功の教えは中国の伝統文化に根ざしています。欧米の観点から、中国の伝統文化を受け入れることは、場合によっては、社会保守主義、または進歩主義的な価値観だと誤解されたりしています。

どちらの解釈も、中国の伝統文化の個々の要素を西洋文化の中で評価しているため、正しいとは言えません。法輪功コミュニティの多くの人々の考え方や理念を理解するためには、中国の伝統文化に立脚する必要があります。

いくつかの例を見てみましょう。

法輪功のコミュニティには、神々への信念、融和した家族関係などの要素が見受けられます。これを「社会保守的」な考え方と結論づけることは誤った見解です。実はより広域な理想に根付くもので、「天地の融和」を説く儒教の教えから捉えていただくと分かりやすいと思います。

もう一つの例として、法輪功のコミュニティでは、自然や環境に融和した生活を理想とし、現代産業による自然環境の破壊に懸念する見解を見受けられるかもしれません。これらを現代の環境保護運動に由来する「リベラル」または「進歩的」な発想と結論づけてしまうことは誤りです。実際は、自己の本来のあり方に誠実であることを重視する道教の理想に根ざしています。例えば、道教の絵画では、人や建物は広大な自然の景観に融和し、ほとんど目立たない存在です。

つまり、法輪功修煉者を政治的に保守的かリベラルかで判断されることは、全く理に合いません。木の枝を見て、木全体を見ていないことになります。

共産党の暴政下での迫害

法輪功修煉者の中には、中国共産党(中共)の台頭と支配を生き抜いた何百万人に入る人もいます。つまり、何千万人もの中国人が中共政権下で亡くなった数十年間です。

最近では、特に法輪功修煉者は中共の主な標的となり、過去20年間、中共の恐怖を身をもって体験してきました。中共による不当な拘束・収監拷問殺害により数百万の家族が引き裂かれてきたのです。この実体験から、中共の暴虐な政権は、中国人だけでなく、中共勢力が拡張するあらゆる場所で、この上ない脅威となっています。このため、法輪功修煉者は、欧米での中共の影響と欧米社会に根差す共産主義の要素を警戒しています。中国の共産主義を反映しているからです。

おそらく、他のどのグループよりも、法輪功修煉者は警戒を高めていると言えましょう。中共の暴政を身を以て体験しており、多くの家族や友人の死が心に焼きついているからです。

政治ではなく理念

上記の二つの要素、すなわち、中国の伝統文化の基礎と共産主義の暴政に対する防衛姿勢をまとめると、多くの法輪功修煉者の価値観と信念に共通するものが明確に浮かび上がってきます。これらは政治的な志向に由来するものではなく、どの政党や思想とも完全に一致するものでもありません。

過去20年の最も基本レベルの研究で、法輪功コミュニティの中にこれらの理念が存在していたことを明らかにしています。近年、欧米で広がっている超党派の政治概念が生まれる時期よりかなり前の話です。

法輪功コミュニティの多くの者は、政党や政治家ではなく、理念を支持しているのです。

平穏に信仰する権利を保護し、共産主義の影響に積極的に反対する政府に対して、多くの法輪功修煉者は拍手を送ることでしょう。

平穏な信仰を抑圧したり、共産主義の脅威に対処しない政府に対して、多くの法輪功修煉者は懸念を示すことでしょう。

このような修煉者の反応を見て、米国(そして欧米社会全体)に見られる分裂した政治環境の中で、一部のメディアは法輪功が「米大統領を支持している」とか、「米大統領に反対している」などの誤った結論を出してしまっているのです。

どちらの結論も的が外れています。

法輪功コミュニティは、伝統的な中国文化とのつながりを大切にし、共産主義の暴虐を直接体験し、真・善・忍の理念が宇宙の根本的な特性だとする人々によって構成されています。これらの特性に沿って、自己を高めることに努める人々です。

法輪功コミュニティが、政党や人物への支持・対立のために、真・善・忍の理念に妥協することはありません。また、政治の問題を取り上げたので、該当することと思われ、指摘させていただくと、法輪功は政治団体や政治家を支援するためにコミュニティを組織化することは一切ありません。

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