オーストラリア上院、中国での臓器摘出に対抗する法案可決
オーストラリア上院は8月21日、中国共産党による、生きている人から強制的に臓器を摘出する問題に対処する新しい法案を可決した。
「2024年移民修正法(海外臓器移植の開示およびその他の措置)」は、自由党や国民党、緑の党、無所属(いずれも野党)の支持を得て上院で可決した。今後、下院で審議される。
この法律は、1958年に制定された移民法の改正案だ。海路または空路でオーストラリアに入国または帰国する人々に対し、入国カードで過去5年以内に海外で臓器移植を受けたかどうかを開示することを義務付けている。受けた場合は、その国、地域、医療施設の名前の提出が必要となる。
この改正案は、人権小委員会の2018年報告書「商業ではなく考慮を 人体臓器売買と臓器移植ツーリズムに関する調査」の勧告を反映している。
この改正案は、2023年6月に自由党のディーン・スミス上院議員が最初に提出した。可決にあたり、次のように述べた。
「違法かつ非倫理的な臓器摘出と売買の増加と戦うオーストラリアの取り組みを強化するため、数十年来で最も重要な一歩だ。この情報は、海外での移植に関するトレンドのデータを分析し、海外での臓器売買または摘出活動の既存の証拠を裏付けるのに大いに役立つだろう。また、人権団体、医療機関、およびオーストラリア政府にとっても非常に有用なものとなるだろう」
「移植ツーリズムに関連する対処とリスクについての認識を高め、オーストラリア市民や居住者に、海外での手術を受ける計画が非倫理的または安全でない臓器移植に関連するリスクを伴う可能性があるかどうかを考慮するよう、促すことにもなるだろう」
緑の党のデイビッド・シューメイカー上院議員は、この法案の可決によりオーストラリアが国際的な取り組みに沿うことになると述べた。
いっぽう、労働党(訳註:政権与党)はこの法案に反対した。強制臓器摘出の慣行を排除するという目標を達成する上で、この政策は効果的でないとの懸念を示した。
労働党は、現行の法律ですでに移民大臣と省庁の代表者に、懸念がある者のビザを取り消す権限はすでに与えられていると主張。さらに、違法な臓器売買に関与している人が、到着時の入国カードに、正直に情報提供する可能性は低いとした。
労働党のティム・エアーズ上院議員は次のように述べた。「入国カードを改正しても大きな(違法な臓器取引の防止)効果はなく、関与者は正確な情報を隠蔽し、申告しない可能性が高い」
労働党は法案に反対しているものの、臓器売買を犯罪および現代の奴隷制の一形態として認識している。
オーストラリア法輪大法学会のルーシー・ジャオ会長は、この新しい法案を歓迎した。可決は重要なメッセージであり、議会が違法な臓器摘出を抑制するために取った、最初の立法行動であると述べた。
現在、米国やカナダ、台湾、英国など同様の法案が進んでいることから、オーストラリアでも違法な臓器移植の加害者を処罰する法案がつくられることを期待するとした。
臓器狩り「生き証人」にも注目
強制的な臓器摘出問題については、最近、その生存者であると訴える男性が米国で記者会見し、この「生き証人」の事案は、西側の主要メディアで広く報道された。
参考記事:中国共産党の「臓器狩り」生存者、米ワシントンで経験語る
いっぽう、なぜ男性の臓器を部分的にしか摘出せず、生きつづけることを許したかどうかについては、推測が広がっている。大半の臓器収奪の犠牲者は、遺体は焼却処分されたと考えられているためだ。
国際中国移植濫用終結連盟(ETAC)の諮問委員会委員長であるウェンディ・ロジャーズ氏は、切り取られた肝臓は、小児患者に提供された可能性があると指摘した。
このほか、人権弁護士のデービッド・マタス氏は、病院による実験か、医師の技術訓練だった可能性を指摘した。マタス氏は米紙エポック・タイムズに対し、00年代初期は、病院が「(臓器収奪)ビジネス参入」の初期段階だと語った。
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