中国共産党による臓器収奪を非難する政治家と専門家

2021年2月24日、は、中国共産党(中共)による強制臓器収奪をテーマとしたオンライン会議が、ETAC(中国での臓器移植濫用停止 国際ネットワーク)の主催で開かれた。100人以上の医学・法律の専門家や、選挙で選ばれた議員が参加した。

2006年に中国で強制的に臓器が摘出されている事実が明るみに出て以来、多くの独立した調査研究を通して、法輪功修煉者、その他の良心の囚人に対するこの残虐行為が確認されている。

大規模な犯罪

基調講演者の一人、ジェフリー・ナイス卿は、世界的に有名な弁護士であり、法律専門の教授として数十年にわたり教鞭をとってきた。1998年から2006年にかけて、国連の国際刑事裁判所でスロボダン・ミロシェビッチ(元セルビア大統領)の起訴を率いた。同じくジェフリー卿を議長とする「中国での良心の囚人からの強制臓器収奪を調査する民衆法廷」(中国・民衆法廷)が、2019年6月17日、中国共産党による「強制臓器収奪」に関する最終判決の要約を発表した。

「中国・民衆法廷」の公聴会は2018年12月8日から3日間と、2019年4月6日から2日間にわたって開かれ、中国における臓器収奪に関して、直接、50人以上の事実証言者と専門家から証拠を聴取した。大量虐殺や人道に対する罪などの国際犯罪が実際に行われてきたかを裁定することが、同法廷の最終目的であった。

「中国・民衆法廷」は、国際刑事裁判所ローマ規定の第7条に定義されている「人道に対する犯罪」に中華人民共和国が該当することを立証した。2019年6月17日の最終裁定では、「殺人、絶滅させる行為、国際法の基本的な規則に違反する拘禁その他の身体的な自由の著しいはく奪、拷問、強姦その他あらゆる形態の性的暴力であってこれと同等の重大性を有するもの、人種的、国民的、民族的、文化的または宗教的な理由その他国際法の下で許容されないことが普遍的に認められている理由に基づく迫害、強制失踪」の要素のうちの一つ以上の実証を以て、中国による法輪功とウイグルに対する「人道に対する犯罪」が立証されたと判定を下している。

2021年2月24日に開催されたETACの会議で、ジェフリー卿は、「中国・民衆法廷」の裁定を疑ったり異議を申し立てる者はいないとし、民衆による法廷として、一般の人々の理性を示したと述べた。自分と同じように、多くの市民が臓器収奪は第二次世界大戦以来、最悪の犯罪であることを認識した。

ジェノサイドを止めるために

ウォルター・リード・アーミー研究所のウイルス疾患部門でかつて研究室長を務めたショーン・リン氏は、法輪功学習者は長年にわたって中国共産党(中共)に迫害されており、強制臓器摘出の主なターゲットになっていると語った。中共政権が1999年に法輪功への迫害を開始してから、軍の病院を始めとして中国全土の数多くの病院で、臓器移植件数が飛躍的に増加した。調査員が中国国内の病院に問い合わせたところ、待ち時間は非常に短いと言われた。中国では文化的背景から自発的な臓器提供がほとんど存在しない。大規模な臓器提供者の供給システムが別に存在することを意味している。

このため、リン氏は国際社会に対して、中共との取引には慎重になるべきだと警告する。「中共に直接はたらきかけなければ、中国での強制臓器収奪は止まらない」と発言した。また、国際社会は単に調査を重ねるのではなく、中共に対して残虐行為を止めるための措置を直ちに取るように要求すべきだと「中国・民衆法廷」が提示したことを指摘した。

マイク・ポンペオ元米国務長官が指摘したように、まず中共の過去の行動からその信頼性に疑問を投げかけ、そこから事実を検証すべきであり、さらに、中共と中国を区別することも重要だとリン氏は語った。

現在、世界保健機関(WHO)が移植の専門家と認める臓器収奪に関わる中国の高官・黄潔夫医師と中共に影響され、この犯罪を隠蔽してきた。その結果、共産主義政権の中国は全世界を脅かし、その脅威を抑制するために必要な対策を多くの政府がまだ実施していない状況にある。

リン氏は、強制臓器収奪は「人道に対する犯罪」であるだけでなく、ジェノサイド行為でもあると強調した。

マグニツキー法

国際人権弁護士のデビッド・マタス氏は、中国の現状では中共が責任を問われることはないとして、中国共産党政権を制裁する法的措置を提案した。

臓器収奪に対する統一されたアプローチとしてのマグニツキー法のバリエーションを提案した。内容は以下の通り。「強制臓器収奪に適用されるようマグニツキー法を見直し、関係者も共犯者とする。さらに、人々が犯罪に加担しないように、該当する個人は学会への加入や学術大会への参加を認可しない」。

オーストラリアのマクアリー大学の臨床倫理学教授であるウェンディ・ロジャーズ氏も、中共を主な加害者とする臓器収奪という凶悪な犯罪を改めて指摘した。さらに衝撃的なことには、中共政権は収益性の高い国内産業にしてしまったと語った。

ロジャーズ教授は、「強制臓器収奪の最終責任は、明らかに中国共産党にあります。中国共産党は、被害者グループへの迫害を承認し、中国での産業規模の臓器移植の開発を許可しているのです」と発言。

また、ロジャーズ教授は、残虐行為を止めるための現在の努力は全く十分ではなく、犠牲者は人間であり、私たちには彼らを助ける責務があると声を上げた。

このためには、すべての専門機関が共同で取り組む必要がある。より多くの機関や科学者が構成する学会が中共に圧力をかけ、該当する中国の医師の国際大会への出席や論文発表を禁止することをロジャーズ教授は提案した。また、海外の患者が、生きている法輪功学習者から収奪された臓器を受け取る中国への渡航移植に制限をかけるべきであると主張した。

加速する国際的な進展

2019年6月の「中国・民衆法廷」裁定発表後、多数の政府や人権団体が裁定文を引用した。米国国務省の年次人権報告書では、この判決だけでなく、2020年に中国で死亡確認の取れた法輪功修煉者は96人と記録している。

英国では、『医薬品・医療機器法』(Medicines and Medical Devices Bill)の臓器収奪を意識した修正案が、政府の支持を得て両院で可決された。これにより、英国の医薬品業界が臓器収奪への加担を防ぐことを可能とした。中国での良心の囚人からの強制臓器収奪を意識した法案が英国で可決されたのは初めてのこと。2021年2月11日に法制化された。

共産主義犠牲者記念財団(VOC)の政府担当理事クリスティーナ・オルニー氏によると、中共が営む臓器収奪関連の産業は、10億ドル規模。犠牲者は主に法輪功学習者だが、ウイグル人も含まれており、米国をはじめとする西側諸国がこの悲劇を食い止めることが重要だと述べている。

2020年12月16日、米国のトム・コットン上院議員(共和党)は、クリス・スミス下院議員(共和党)、トム・スオジ下院議員(民主党)とともに、中国での強制臓器収奪を阻止する法案を提出した。「臓器狩り停止法案」として知られ、中共が良心の囚人からの臓器収奪を阻止することを目的とする。同じ法案が2021年3月にバイデン政権で「米国2021臓器狩り停止法案」として提出された。クリス・クーンズ上院議員(民主党)、ヴィッキー・ハーツラー下院議員(共和党)が提出議員に新たに加わっている。

カナダのマリルー・マクフェドラン議員は、『刑法と移民・難民保護法(ヒトの臓器取引)』を改正するS-240の提出を発表した。2021年2月22日、中国共産党政権によるウイグル人への扱いをジェノサイドとする保守党の動議が、カナダの国会で全会一致で可決された。

カナダのサミール・ズベリ議員は、カナダが、中共によるウイグル人虐待を法的にジェノサイド(大量虐殺)と認めた最初の国となったと指摘。米国は中共抑制に率先して行動しており、他国もこれに追随することを期待していると述べた。

オーストラリアのエリック・アベッツ国会議員は、臓器収奪は中共による数多くの人権侵害の一つであるとコメントした。「普遍的な価値観に反する。中共は、経済的な圧力で、人権に関してオーストラリアを黙らせようとしてきたが、中共の人権侵害と闘うオーストラリア政府の決意は揺るがない」と語っている。

クロアチアの欧州議会議員イワン・ビリボー・シンチッチ氏は、中共による臓器収奪は、最悪の人権侵害であると詳説した。「10年以上続いており、犠牲になっているのは、より良い市民になりたいと願う罪のない法輪功学習者たちです。初めてこの悲劇を耳にしたとき、ほとんど知られていないことに、怒りと悲しみを覚えました。今では、より多くの人がこのことを知っています。しかし、経済的な理由から、EUは長年、中共批判を避けてきました。EUだけでなく、世界中の国々が変わる必要があります」。

人権活動家で元弁護士のデビッド・キルガー氏は、中国での臓器狩りは、人類の基本的な価値観や健全な社会を脅かすジェノサイドの一つの形態と確信する。中共を抑制するために、カナダがオーストラリアのような内政干渉阻止法案を制定することを望んでいる。

明慧ネットの情報によると、中国では記録されているだけで、4,000人以上の法輪功学習者が迫害によって命を落としている。2020年だけでも少なくとも84人が死亡。中共による検閲と情報封鎖のため、実際の犠牲者数はかなり高いと見込まれる。さらに、1999年以来、22年間続いた迫害で、かなりの数の法輪功修煉者が行方不明となっている。

Minghui.orgを基に作成
Minghui.org英語原文
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