2022年に見られた法輪功迫害の5つのトレンド
2022年を通して、中国共産党の状況を理解する上で、法輪功は依然として不可欠な存在でした。
迫害が始まってから23年以上経った今でも、治安機関は法輪功を標的としており、法輪功の学習者は、恣意的な拘束、偽装裁判による投獄、組織的な拷問、死に至る拷問など、大規模な虐待を受けています
毎年、迫害のやり方に新たな傾向や戦術が見られ、中国国内のみならず世界で展開されています。
2022年に見られた5つのトレンドをご紹介します。
1) 第20回党大会前・党大会中に強化された法輪功への迫害
2022年10月16日から22日にかけて、中国共産党(中共)は5年に一度の党大会を開催し、習近平は前人未聞の3期目の党首に指名されました。大会前は、治安当局による法輪功学習者などへの監視と迫害が強化されました。
第20回党大会に向け、早くも2月の時点で、地方政府のウェブサイトは法輪功修煉者を厳しく監視する行動を発表していました。2022年2月24日、甘粛省の政府代表団は、「国家の安全と政治的安定を守る」という名目で、ネット検閲の強化など「法輪功の予防と取り締まりをさらに強化する」ことを決定しました [中国語記事]。
大会が近づくにつれ、9月から10月にかけて、警察が現地の修煉者の日常的な行動や家庭が例年以上に厳しく監視しているという報告が多数寄せられるようになりました。大会が開催される北京から遠く離れた上海や東北地方でのことでした。山東省では、9月下旬から大会終了の10月25日にかけて、法輪功修煉者で元翻訳者の王帆さんは、東營市警察に行く先々を尾行されました(写真) [英語記事]。
また、9月30日、遼寧省大連市で、56歳の法輪功修煉者、方彩霞さんは、3人の警官からいやがらせを受け増しrた。「我々は第20回党大会を『守る』ために来た。深く穴を掘ってでもおまえを見つけ出す。第20回党大会の前に、週に一度、おまえをチェックする義務がある」と脅迫されました [英語記事]。
2) COVID-19の情報を流したことで拘束・迫害された法輪功修煉者
COVID-19の流行が始まって以来、法輪功修煉者は、感染に関する検閲のない情報を中国市民や世界と共有してきました。この暴露を恐れ、中国の治安機関は2020年初頭から修煉者の監視と拘束を強化しました。中国共産党の強権的なゼロ-COVIDのロックダウンが中国全土に広がる中で、この傾向は2022年も続きました。
COVID-19に関する情報を共有したことで拘束された法輪功修煉者の事例は、中国の(中共が左右している)裁判制度でも取り上げられました。最も注目された事例として、許那さんが2022年1月に、北京のパンデミック規制に関する写真と情報を海外のウェブサイトに送ったとして、8年の禁固刑を言い渡されています [米・国際宗教自由委員会サイト] [米・中国問題に関する連邦議会・行政府委員会サイト] [フリーダムハウス英語記事]。
武漢市内の状況を詳しく紹介する動画をYouTubeに公開し、2020年3月に中国当局に拘束された市民ジャーナリスト・方斌氏が隔離されていることが明らかになりました。2021年11月、武漢の江安拘置所で、最後に目撃されたのは、2021年11月、武漢の江安拘置所でした [国際ジャーナリスト連盟・英語記事] 。方斌氏は以前、法輪功を実践していたために投獄され、拷問を受けた経歴があります。
3) 2022 年、中共の残虐は弾圧により、少なくとも101名の法輪功学習者が死亡
中国の市民ジャーナリストのネットワークによると、この一年間で中国政府の厳しい迫害により拘束中または釈放後に死亡した法輪功学習者の記録された事例は101件に上りました。この中には、ニューヨークの建築家 張暁鋒(Simon Zhang)さんの母親季雲芝さん(66歳)も含まれていました [英語記事]。
季雲芝さんは、北京五輪の三日前に警官が家に押し入り、内モンゴルの巴林左旗看守所に拘束されました。49日間の拘束の後、2022年3月21日に死亡しました。家族によると虐待の兆候がありました。
2023年1月1日現在、1999年7月以降の法輪功の迫害による死亡者数は4904人とMinghui.orgで記録されています。臓器収奪の対象になるなど、詳細な情報を得ることが困難なため、法輪功の犠牲者は実際にはさらに多いと思われます。法輪功修煉者として知られる人々を対象とした中国の治安部隊による幅広い迫害戦術の極限がこのような死亡です。
2022年、中国の警察は少なくとも3,137人の修煉者を恣意的に拘束し、446人が偽装裁判の末、最長15年の実刑判決を受けました。その他、数百人が合法外の洗脳センターに送られたり、拘束を避けるために自宅から逃げ出すことを余儀なくされました[英語記事]。
3,557人の法輪功学習者は、警察から嫌がらせを受けました。その方法には、警官に夜押し入り、令状なしでの捜索、デジタル・物理的な監視、金銭的な恐喝などが挙げられます。少なくとも128人が、拘留中と在宅中の両方で、医療検査を強要されており、血液サンプル、音声記録、DNAサンプル、指紋などの生体情報が収集されたと報告されています[英語記事]。
4) 江沢民の死、新たな国際的制裁、法輪功迫害に関与した中国政府高官の中国内部での粛清
元中国共産党の独裁者だった江沢民は、2022年11月30日に死去しました。江沢民は、1999年に独断で、法輪功学習者に対して死に至る迫害運動を命じ、プロパガンダ、大量監禁、強制的な「転向」を通じて、法輪功「撲滅」を命じました[英語記事] 。法輪功の迫害で重要な役割を果たしてきた他の中国当局者は、この年、直接的または間接的な影響を受けています。2022年12月9日、アメリカ国務省は重慶地区刑務所の元副所長である唐勇を「重大な人権侵害、すなわち法輪功学習者の恣意的拘束に関与した。特に信仰の自由への深刻な侵害にもあたる」として、唐とその家族に対するビザの制限も含む制裁措置を発表しました [米・国務省サイト]。
2016年から2021年までチベット自治区の党書記を務めた呉英傑も、同様の制裁の対象となりました。チベット民族の弾圧に止まらず、呉の在任中、同地域の法輪功学習者も残虐な迫害を受けています。(法輪功の迫害を記録・報道している)Minghui.orgでは迫害の主犯として名指ししています [迫害を受けた夫婦・英語記事] [チベットでの迫害状況・英語記事]。
バイデン政権下の国務省が法輪功に対する重大な人権侵害を理由に中国共産党の幹部を制裁することは2度目のことです。トランプ政権時代にも1人制裁の対象となっている[英語記事]ので、合計で3度目となります。
中国国内では、法輪功弾圧運動を主導した悪名高い「610弁公室」の元幹部の傅政華と彭波が粛清、汚職違反で処罰され、それぞれ2022年9月に無期懲役、同年11月に14年の実刑判決が下されました。傅政華と彭波の処分は法輪功迫害に関連したものではありませんが、この処分により、法輪功への迫害運動に関連した2人の幹部が党の上層部から排除され、下級幹部も処分される可能性を知らしめました。特に傅政華は、法輪功やその他の中国国内での迫害に関与しており、米国や他の民主主義国から制裁を受けるべき幹部として、長い間名指しされてきました [英語記事]。
5) 臓器移植濫用に関する新たな証拠と国際的な措置
2022年、法輪功の学習者や良心の囚人が、中国で拡大する移植産業のために、臓器のために殺害されていることを示す証拠が、新たな研究成果として発表されました。増え続ける一方の証拠にさらに加わることとなりました。
2022年4月、米国移植学会誌(American Journal of Transplantation)に掲載された論文で、マシュー・ロバートソン氏とジェイコブ・ラビー医師が、中国の数十の病院が「臓器摘出前にドナーは死亡していること」という移植倫理の基本ルールを遵守していないことを証明しました。医療原則に基づく揺るぎない規則です [論文の英語原文]。 「臓器調達による処刑:死者をドナーとする規則に反する中国」(Execution by organ procurement: Breaching the dead donor rule in China) と題された研究論文では、30年以上にわたり中国の56軒の病院で300人以上の医療従事者が、脳死状態にない生きている患者から臓器を摘出し、事実上、殺害している事実を証明しました [日本語記事]。
英国医師会の医療及び倫理専門家ジュリアン・シェザー氏、スティーブ・ツァン氏、ゾーイ・グリーブス氏は、「中国政府はこの犯罪のために医療専門家、医療技術、医療テクノロジーを系統的に配備した 」ことを指摘しています [英語記事] 。 Cambridge Quarterly of Healthcare Ethics Journal誌に掲載された 査読付き論文「中国での臓器調達における脳死定義を悪用した事例」(Cases Abusing Brain Death Definition in Organ Procurement in China)では、「脳死と主張したドナーからの臓器提供について系統的に調査する必要がある」と結論づけています [論文の英語原文]。
このような指摘や、中国での臓器移植濫用に対する広範にわたる啓発は、議会や医療関係者の行動を促しました。英国議会では、2022年5月に医療・介護法(Health and Care Act)2022の改正が通過し、中国、その他の国への商業的な移植ツーリズムが禁止されました [法規原文]。カナダでは12月に法案S-223が通過し、同様に強制臓器摘出に対処しました [法規原文]。また、アメリカでは、超党派の「臓器収奪停止法案」[英語記事]が上院外交委員会と下院外交委員会に付託され[法規原文] 、台湾の立法者は「強制臓器摘出を撲滅・防止する法案」を提出しています[英語記事]。
医療分野では、国際心肺移植学会(ISHLT)が、学会誌と学会のシンポジウムから「中華人民共和国における移植および、ヒト・ドナーからの臓器もしくは組織に関わる」論文の投稿を医療団体として初めて禁止しました [声明アクセスリンク] 。さらに、同学会誌で医療専門家は、「処刑された囚人もしくはその他の移植関連犯罪により摘出された臓器を用いる移植」に、知識を利用しかねない国外からの医師や外科医の養成は控えるように、他の医療専門家に注意を促しました[オピニオン記事] 。2022年11月には、法医学看護アカデミー(AFN)と強制臓器摘出に反対する医師団(DAFOH)が、第1回「強制臓器摘出の阻止・撲滅のための看護師サミット」を開催しました [公式サイト:10名のスピーチ収録] 。このサミットは、中国の臓器収奪産業と世界的な共謀を阻止し、倫理的な医療行為を保護する解決策の提供を目的としています。
2022年に新たに方向された事例に関する統計はこちらへ(英語記事)