法輪功への迫害: 2023年の主な動きと2024年の予測

法輪功への迫害は四半世紀近くにわたる。法輪功学習者は依然として中国の治安部隊の主な標的であり、恣意的な拘束、見せかけの裁判を経た投獄、系統的な拷問、致死などの大規模な虐待が続いている。迫害の手法、中国国内・国外での加害者の動きにおいて、毎年、傾向や戦術は変化している。

以下は2023年における迫害の6つの特徴。

  1. 中国共産党による法輪功弾圧運動が倍増
  2. 法輪功を修め、草の根で弾圧に抵抗している学習者の逮捕・判決の事例が2022年比で増加
  3. 中国の警察は監視技術を駆使し、全国的に嫌がらせを行っている。
  4. 2023年、迫害による法輪功学習者の文書化された死者数の総計は2023年に5000人を超える。少なくとも114人が2023年に死亡。
  5. 海外の法輪功学習者を標的にする中国共産党の弾圧、民主主義国家政府による有効な対応例。
  6. 国際的な支援運動が勝利を収め、中国国内での反体制運動が活発化。

1. 中国共産党による法輪功弾圧運動が倍増

1999年以来、中国共産党政権による法輪功を撲滅する運動が続いている。2023年、中国共産党の治安および宣伝機関の幹部は、法輪功学習者への悪意を広め迫害することを優先事項とし喚起している。

国家・地方レベルの共産党の指導者たちは、ここ数年、法輪功への弾圧を、政権の「政治的な安全」を確保するための最優先事項として挙げている。法輪大法情報センターの調べでは、2017年以降、少なくとも12省および国家レベルの司法・公安幹部が発行する業務報告書・演説・指令で20件以上、言及している*。
(*「新たな調査結果: 中国政府高官、法輪功弾圧を政権の安全維持の中核と位置づける」英文記事 )

また、同調査によると、2023年初頭の国務院情報局の文書(中国語記事)に見られるように、法輪功を標的にした言及はますます公になっている。迫害は全国で衰えることなく続いていたが、これまでの公安当局による長年の沈黙からの変換が見受けられる。

この現象が、2022年11月の江沢民・元中国共産党書記の逝去後も続いていることは注目に値する。江沢民は、1999年に法輪功禁止令と暴力による迫害を開始した人物。さらに、法輪功への弾圧を治安活動の対象とする表現が使われるようになった時期は、COVID-19のパンデミック以来、法輪大法情報センターが認識してきた激化する迫害(英文報告書)(大規模な恣意的拘束・拷問・拘束中の虐待死など)の時期と一致している。

また、2023年春には、大規模な宣伝活動が開始され、何百万人もの中国市民が法輪功に関して悪意と虚偽に満ちた動画やその他のコンテンツを見て、迫害を支持する請願書に署名するよう奨励または強制されている。この全国的な宣伝活動は、一般に普及しているWeChatアプリ上に請願書を設定し、署名者に「バッジ」を付与するもので、中国全土を網羅する政府のウェブサイトに掲載されている。警察、公安局、町や市の中国共産党委員会、村の委員会など、さまざまな国家機関や党機関がこの活動に参加している。小・中・高校もこの活動の重要なターゲットであり、次世代の中国人が法輪功を憎み、恐れるように政権が教え込もうとしている一例である*。
(*「中国共産党:反法輪功の陳情運動を全国的に開始。数千万人を欺く」英文記事)

2. 法輪功を修め、草の根で弾圧に抵抗している学習者の逮捕・判決の事例が2022年比で増加。

2023年に3,629人の法輪功学習者が中国の警察に逮捕されたと記録されている(日本語記事:「2023年法輪功学習者6514人への連行、嫌がらせが判明(一)(二)」)。しかし、このような事例報告への厳しい検閲を考慮すると、実際の拘束者数はより高い規模であると確信される。2022年比(本稿執筆時点で3,305人)より増加している。

毎年数百人の法輪功学習者が拘束後、正式に起訴され、見せかけの裁判と長期間の公判前の勾留を経て、実刑判決を受ける。2023年もこの例に漏れない。

合計615人の法輪功学習者が最高12年の実刑判決を受けた記録がある。さらに2023年に140人の実刑判決が報告されており、2023年に発生したと確信されている。報告に至るまでの時間があるため、2022年に発生した判決659件のうち、昨年の今頃までに報告されたのは446件であった。現段階で615件である2023年は、前年比より全体に増加している(日本語記事:「2023年において1188人の法輪功学習者が不当な判決(一)(二)」)。

これらの新たな良心の囚人は、数万人あるいはそれ以上の法輪功学習者が、警察署、法定外の拘禁施設、刑務所に拘束中と推定されている。そして、これらの新たな良心の囚人がさらに加わった。中国政府のCOVIDゼロ政策とそれに伴うロックダウンの期間は司法業務が削減されたが、これらの政策が2022年12月に終了したことも、2023年の逮捕・判決の事例が増加した要因の一つに挙げられる。

事例を分析すると、収監された法輪功学習者の多くは、単に法輪功を修め、信教の自由の権利を行使しただけで標的にされている。2023年の期間中、数百人の法輪功学習者が共に法輪功の書籍を読むために集まるか、法輪功の書籍を所持していただけで逮捕もしくは判決に至っている。例えば、黒竜江省では、法輪功学習者の動きが警察にしばらく監視されていたが、9月4日に50人以上の法輪功学習者がまとめて逮捕された(日本語記事)。

拘留された法輪功学習者のうち、さまざまな形で異論を唱え、表現の自由を行使したために処罰された者の数はさらに大きい。中国全土の法輪功学習者は、中国共産党の迫害、検閲、プロパガンダに対して、草の根の活動で対応し、権利侵害について中国国民に啓蒙している。時には、拷問や虐待を受けたことを提訴している。この活動のため、多くの学習者は再び拘留され、判決、投獄に直面している。

2023年の多くの被害者は、検閲に触れる情報の共有、法輪功迫害に関わらないよう役人に投函、公共施設や住宅地での情報資料の配布、さらには法輪功や迫害、中国共産党の残虐な歴史、COVID-19について単に他の中国市民と話したという理由から判決を受けている。

3. 中国の警察による監視技術を駆使した全国的な嫌がらせ

高度化するデジタル監視ツールは、当局による学習者の摘発とそれに伴う拘束・投獄に役立てられている。2022年11月以降、54件の文書化された事例(英文記事)がある。法輪功学習者が公園や市場(いちば)で迫害について話したり、公共スペースにポスターを貼ったり、住宅街でビラを配布している様子が、中国国内に普及しているビデオ監視カメラに記録され、それをもとに学習者が拘束されている。中国のテクノロジー企業の少なくとも一社は、特に法輪功学習者をターゲットにした警察向けの警報機能を開発した。

しかし、ハイテクによる監視がなくても、中共政権は、法輪功を修めるか法輪功について話した疑いのある中国市民を対象とした草の根レベルの監視と嫌がらせをするための全国的な組織を構築してきた。2023年には、合計2,885人の学習者が、警察による自宅訪問、令状なしの捜索、物理的な監視、金銭的な恐喝などの嫌がらせを受けたことが記録されている。

2023年は、毎年の例に漏れず、政治的に重要な日や行事の前後に嫌がらせが激化した。国家レベルでは、3月に北京で開催された中国立法府の年次総会や、4月、5月、7月の法輪功に関連した記念日などである。5月に中国共産党の習近平総書記が陝西省を訪問するなど、より地域的なイベントも法輪功を修煉する地元住民への嫌がらせ、監視、迫害を強化する引き金となった。

4. 2023年、迫害による法輪功学習者の文書化された死者数の総計は2023年に5000人を超える。少なくとも114人が2023年に死亡

中国の法輪功学習者は、拘束されると極悪の拷問を受け、拘束中や釈放直後に死亡することがある。悲劇的な出来事として、2023年6月、迫害により死亡した法輪功学習者の総数は記録されているだけで5,000人を超えた。明慧ネット(英文記事)が記録した1999年7月以降の法輪功迫害による死亡者数は、本稿執筆時点で5,032人に達している。法輪功を修煉したために死亡した実際の死者数は、臓器収奪の対象となった無数の犠牲者を含め、詳細な情報入手が困難であるため、その数十倍、数百倍に上るとみられている。

市民ジャーナリストのネットワーク「明慧ネット」が記録し、海外に発信した情報だけでも、2023年には114の死亡事例が発生している。中国共産党の厳しい検閲によって報道の遅れが生じることから、今後数ヶ月で死者数は増加すること予想される。事例は21の省、市、自治区で発生した。最も死者が多かったのは吉林省で14名、遼寧省で12名、湖北省で12名だった。

中国共産党の迫害により2023年に亡くなった学習者には、教師、医師、セールスマンが含まれている。性別が判明している死亡者のうち、40名は男性、74名は女性であった。年齢は31歳から93歳まで。最年少の学習者は姜勇氏(31歳)(中国語記事)で、2021年6月に逮捕された後、「国家権力転覆罪」で吉林省で8年半の服役中だった。長春市公主嶺刑務所の職員は、ハンガーストライキ中の姜勇氏に拷問を加え、医療上の理由で仮釈放を求める家族の嘆願を拒否した。彼は1月23日、長春市警察病院で死亡した。この事件は、草の根の人権ネットワーク「維権網」によっても報告された(中国語記事)

死亡事例と並んで、法輪功の良心の囚人が臓器収奪の標的にされ、中国での移植産業ブームを促進するため殺害されているという深刻な懸念がある。2022年に発表された医学研究*に加え、2023年には、拘束された学習者が不本意で不審な医学的検査や診察を受けている事例が続々と報告されている。唾液や血液を採取され、眼球の虹彩スキャン、心電図、X線検査などで、これらが臓器収奪前の準備にあたることは十分に記録されている。例えば、広東省の警察が56歳の余梅さんは、逮捕された後で、赤坎区病院の医療スタッフに血液サンプルの採取、心電図とレントゲン撮影を強要されたと報告されている(英文記事)。余梅さんは特に持病があるわけではないため、中国共産党の膨大な臓器摘出計画の下で非自発的臓器提供者として登録するためにデータを収集した疑いが強い。
(*2022年に発表された医学研究:「臓器摘出による処刑:中国でのデッドドナー・ルールの違反」英文記事

5. 海外の法輪功学習者を標的にする中国共産党の弾圧、民主主義国家政府による有効な対応例

中国共産党の法輪功学習者への追跡は、中国の国境をはるかに越えて広がっている。2021年、フリーダムハウスは、中国政権が「世界で最も洗練された、グローバルで包括的な国境を越えた弾圧キャンペーン」を行っており、そのターゲットの中に法輪功学習者が含まれていることを明らかにした(報告書:『中国:国境を越えた弾圧ー出身国別の事例』英語原文)。中国共産党と代行者たちは、20年以上にわたって法輪功に対する国境を越えた弾圧運動を実施しており、その戦術、メカニズム、組織は拡張・改良され、はるかに広範に被害者コミュニティに標的を絞っている。

このような攻撃は2023年も続いた。特に下記の3点を特筆する。

  • 第一に、中国共産党と迫害運動に反対する平和的な抗議活動を行っていた法輪功学習者に対して、政権に支持されたか政権のプロパガンダに欺かれた中国人が身体的で言葉による攻撃を行ったことが記録されている。ブリュッセルでは、学習者に尋常ではない暴言を吐いた女性に対して、警察は彼女が精神的に不安定であるとみなした*。11月に習近平がアジア太平洋経済協力会議(APEC)サミットのためにサンフランシスコを訪問した際、中国人が巨大な中国国旗を掲げた法輪功の横断幕の前に巨大な中国国旗を掲げた中国人が群がり、少なくとも1人の若者が横断幕を破ろうとした。彼らは中国政権から報酬を得ていると思われる**。また、2023年は、米国、カナダ、オーストラリア、英国では、個人の中国人が、迫害について語るか中国共産党を批判した法輪功学習者に身体的暴行を加え、少なくとも5人が告訴された。そのうちの数件は、本人が謝罪するか罰金を支払うか、司法当局からその他の処罰を受けることで終結した***。
    (*「ブリュッセルでの穏やかな陳情を若手の中共支持者が妨害」英文記事 )
    (**「APEC首脳会議で法輪功の陳情グループを標的にした中国領事館が後押しする団体(米サンフランシスコ)」英文記事 )
    (***「法輪大法情報センター理事、米国際宗教自由委員会(USCIRF) ”国境を超えた弾圧”公聴会に証言を提出」英文記事 )

  • 第二に、中国共産党の法輪功迫害に関する情報を記録・公表するツイッターのアカウント*や非営利機関のウェブサイトが、組織的なトロール(荒らしや攻撃)、サービス拒否**などのサイバー攻撃に直面した。特に重要な報告書の発表と一致する時期でもあった。
    (*「法輪功に関する悪質なコンテンツを拡散するツイッターのトロール・アカウント急増」英文記事
    (**「臓器収奪の衝撃的な新証言を公開した米サイトにサイバー攻撃」英文記事

  • 第三に、中国共産党は、米国を拠点とする非営利団体「神韻芸術団」を標的に、グローバルに積極的な運動を展開し、劇場や都市に対して、神韻芸術団の公演を開催しないよう強要している。中国共産党の内部文書には、この活動は “法輪功との闘争の重要な一部 “と記述されている。法輪大法情報センターの最近の報告書*では、2007年以来の中国当局とその代理人による神韻への嫌がらせ、妨害工作、偽情報、物理的攻撃など、38カ国135件の事例を分析している。この中には、ドミニカ共和国と韓国を含む、2023年に発生した8件の事例が含まれている。さらに、2023年には、ニューヨークにある神韻の訓練施設が、破壊行為、ドローンによる頻繁な監視、軽薄な訴訟、銃による暴力行為に出る可能性があるという脅しなどの事件に直面した。
    (*報告書:「外交上の妨害と偽情報の流布:神韻を阻止する中国中央政府のグローバルな動き」英語原文

海外での法輪功への攻撃と同様に注目すべきことは、過去2年間に民主主義政府がこれらの攻撃を明らかにし、処罰するためにとった厳格な行動である。2023年中、中国共産党による米国内の法輪功に対する多国間弾圧運動に加担したとして、合計4人の中国工作員容疑者が米国政府に逮捕された。最も注目された事例は、2023年5月、2人の男が国税庁職員に賄賂を渡し、米国内の法輪功関連NGO(おそらく神韻芸術団)の非課税資格を剥奪しようとしたとして逮捕された*。その国税庁職員は実際はFBIの潜入捜査官だった。
(*「米国政府、法輪功を標的にした贈収賄で中国共産党の諜報員を告発」英文記事

中国共産党の国境を越えた迫害への抵抗は、実は目立たない形で行われている。今月発表された上述の神韻公演の阻止に関する調査報告*では、2007年以来、19カ国43件の事例で、現地の劇場支配人や政府関係者が、法輪功を中傷して神韻公演を中止させようとする中国外交官の試み(脅迫、経済的な強要、その他の攻撃的な戦術など)をはねつけたことが記録されている。
(*調査報告「神韻を封じ込め、誹謗中傷する中国政権によるグローバルな活動」英語原文)

6. 国際的な支援運動が勝利を収め、中国国内での反体制運動が活発化

中国共産党が法輪功弾圧のために莫大な投資をしているにもかかわらず、法輪功は世界だけでなく、禁止されている中国国内でも栄え、数千万人に健康、希望、心の平穏をもたらしている。中国では人権弁護士が勇気をもって法輪功学習者を弁護し、職場の同僚も親切になり、一部の警察官も同情的である。世界の一般市民と政府指導者は迫害を非難し、中国当局に制裁を課している。現在、法輪功は100カ国以上で修煉されており、その中にはトーゴ*、イスラエル**、フランス***、インド****など、中国系ではない国々も含まれている。
(*「アフリカのトーゴ: 法輪大法紹介10周年記念のパレード」英文記事
(**「イスラエル:戦地からの避難者に法輪功の瞑想ワークショップを提供」英文記事
(***「フランスのサンドラさんの紹介」英文記事
(****「インドのバンガロール、2年に一度のフラワーショーで法輪功を紹介」英文記事

中国全土の数百万人の法輪功学習者は、中国共産党のプロパガンダに対抗し、虐待を暴露するビラや横断幕を印刷・配布し続け、知人に目立たないように話しかけている。また、中国のインターネットに設定されている「グレート・ファイアウォール」を突破するツールを共有して、中国市民が法輪功やその他の検閲に触れる情報にアクセスできるようにしている*。
(*「市民の不服従」英文記事

中国国外に居住する法輪功学習者は、中国国内の警察、検察、裁判官に電話をかけ、迫害に参加しないよう促し、政府の幹部に科された諸外国からの制裁について情報を提供している。同時に、中国共産党、青年団、少先隊から(しばしば偽名を使って)離脱する脱党の概念(英文記事)を紹介している*。こうした努力は成果を上げている。何億人もの中国人が、中国共産党とその蛮行から距離を置き、退党声明を発表している。中国からの報告には、裁判官や警官が法輪功学習者に同情し、危害を加えることに消極的であること(英文記事)や、海外からの電話によって法輪功に対する見方が変わったという内容もある。

また、中国国外にいる親族が、自分の居住国での拘束されている学習者への認識を高め、釈放を求めている。現地の選出議員や外国政府から支持されている場合もある。2023年には、米国の国会議員がこれらの家族の窮状を集めた議会報告会を開催*し、複数の議員が米国務省に書簡を送り、この有権者の事例を中国の該当部門に提起するよう促した**。また、イタリアの元政府高官が欧州に居住者の親族で、中国で拘束されている学習者の釈放を促す論説を発表した***。2023年にヨランダ・ヤオがカリフォルニアで両親と再会し、幸せな結末を迎えた。法輪功と迫害に関する資料やカレンダーを所持していたため、2015年から2020年まで中国で収監されていた夫婦が釈放後、激しい嫌がらせを経て、国外に逃亡。カリフォルニア在住の娘、ヨランダ・ヤオと2023年に再会するというハッピーエンドの事例もあった****。
(*「米議会での状況報告とラウンドテーブルで、中共による”悲惨な”法輪功迫害をハイライト」英文記事 )
(**「米下院議員、拘束された法輪功学習者の釈放を確保するよう国務省に要請」英文記事
(***「国境を超えた弾圧に関するカナダの新報告書:迫害を非難する前イタリア議員」英文記事 )
(****「カリフォルニアの居住者、9年ぶりに両親と再会」英文記事

より広い意味で、法輪功への迫害をなくすことを目的とした決議や法案の審議・採択も行われている。台湾では、台北市台南市高雄市を含むいくつかの都市が、法輪功の囚人からの臓器収奪への認識を高め、中国への渡航移植の抑制措置を求める決議を可決した。

米国では2023年に国家法案が2本提出された。2月に提出された超党派の「臓器収奪停止法案」は、3月27日に下院で413対2の賛成多数で可決された。上院で提出された同様の法案(英語原文)は現在、外交委員会で審議中。6月に再提出された超党派の法輪功保護法案(英語原文)の共同提案者は17名となり、下院での採決が待たれている。この2法案が採択されれば、法輪功学習者やその他の良心の囚人に対する臓器収奪に関与した加害者(個人および団体)に制裁が科されることとなる。

州レベルでは、テキサス州議会に提出された超党派の法案が両院で可決した。6月18日に法律として署名され、9月1日に施行された。中国を含む臓器収奪が行われていることが判明している(中国を含む)国々での臓器移植に対して健康保険の適用を廃止することを目的としている。法案は「(中国の)臓器は、数十万人の投獄者 ー 主に法輪功学習者 ー から摘出された可能性がある」と断言している。米国の患者が臓器収奪に加担することのないように措置を制定した米国初の法案となった。

2024年の予測

2024年7月20日は、江沢民と中国共産党が法輪功を完全に排除するための暴力的な弾圧運動を開始してから25年目にあたる。当時、江沢民は法輪功を3ヶ月以内に根絶するよう求めた。法輪功が自分の寿命よりも長く、中国政権による激しい攻撃を生き抜くことは、江沢民にとって予想外だったであろう。彼の見込みは大きく外れた。

中国共産党の治安機構は、この記念日を迎えるにあたり、自らの過ちを認めるのではなく、むしろ弾圧を強化することで、折り合いをつけようとしている。さらに中国内外で、法輪功学習者の一般教育への取り組みに対抗するために、中国政権は、法輪功の修煉や神韻芸術団のような学習者による成功した団体を標的に、デマや偽情報の流布に力を再び注いでいる。

7月に迎える迫害開始25周年と1999年4月に北京の中南海周辺で平和的な陳情が行われた記念日の前に、中国政府の公式サイトに、現地の法輪功学習者に対する警戒と監視の強化を促す指令が新たに出されるかを注視する必要がある。中国国内では、COVID-19のピーク時のように、(迫害とは無関係の話題も含めた)検閲に触れる内容の情報を共有する法輪功学習者が標的にされる可能性もある。

中国の国境を越えて、人工知能(AI)が生成した画像、偽のソーシャルメディアアカウント、有料折り込み広告、西側の主流メディアの誤解を招くような報道などを通じて、法輪功の理念や法輪功学習者コミュニティに関する虚言を巧妙に広げていくと思われるので注意が必要である。

前向きな点として、法輪功への支持を封じ込めようとする中国政権側の取り組みに対して、世界の政府高官やその他の著名人が、継続的に立ち上がっていることに注目したい。迫害25周年が近づくにつれ、迫害されている法輪功学習者の擁護、国境を越えた弾圧に関与している中国共産党工作員の訴追、法輪功学習者の苦境に対して認識を高めるかその苦しみを軽減するための公聴会や立法措置がさらに増えることが予想される。

この観点から、2024年はすでに好調なスタートを切っている。1月18日、欧州連合(EU)議会は法輪功だけに焦点を当てた前例のない決議日本語訳)を採択した。迫害の停止、人権侵害者である中国共産党幹部への制裁、ドイツ在住者の父親である丁元徳氏の釈放を求めた(日本語記事)。

これからの2024年にさらに良いニュースが続くことを期待している。