中国での法輪功・臓器収奪の英国への直接的な影響について2024年11月5日 英国貴族院で行われたセミナーのためのスピーチ
法廷弁護士 エレノア・スティーブンソン
Eleanor Stephenson
中国共産党の行動から何を学べるのでしょうか、そしてなぜこの知識が新しい政府にとって不可欠なのでしょうか?
数十年にわたり、西側諸国の政府は、中国共産党が開放的になり民主化に向かうことを期待して、戦略的な協力政策を進めてきました。しかし実際には、中国共産党は国内でも英国でも、より露骨に権威主義的になっています。
中国共産党の本質そして世界での覇権を目指す意図は一貫しています。25年間にも及ぶ法輪功の人権に対する残虐行為を経て、私たちは多くのことを学びました。このセミナーでは、この問題が中国にとどまらず、英国にもどのように直接影響を及ぼしているかを探ります。
また、英国が中国でのこうした残虐行為に対してどのように対応しているか、特に臓器収奪を終わらせるための取り組みや、国際法の観点から英国が共犯関係に陥らないための対策についても議論します。
新政府とともに、英国は中国との関係における岐路に立っています。これは、中国の体制の本質をよりよく理解し、私たち自身の利益と価値観を保護し維持しつつ、中国と適切な関係を築くための絶好の機会です。
この問題に取り組むための新しい方法について簡単にお話しします。
しかしその前に、背景としてこれまで成し遂げてきたことをお話ししましょう。2019年に『中国(臓器収奪)法廷』が開催され、ジェフリー・ナイス卿は判決の中で、臓器収奪が人道に対する罪に該当すると認めました。英国では法改正において良い進展があり、アメリカでは『臓器収奪停止法』の制定が近づいており、欧州議会でも関連の決議が採択されました。国際刑事裁判所(ICC)に訴訟を提起することも検討しましたが、簡単なことではありません。
国際的な圧力が一定の成果を上げているものの、依然としてこの行為は続いています。
そこで、現在新たなアプローチとして、中国国内から中国共産党に対して圧力をかける方法を模索しています。具体的には、西洋の医療分野がどのように臓器収奪を助長しているかを調べています。中国との協力関係を見つけ出し、それらのパートナーシップを解消することで、中国の医療界を国際社会から孤立させることができれば、彼らもそれを好まないでしょう。
背景を説明すると:
国家が管理する臓器収奪のオペレーションは、中国国内外の協力なしには実行できません。
必要なものとしては、以下があります:
- 手術を行う外科医
- 外科医を支援する看護師
- 手術のために免疫抑制剤などの薬の供給
- 臓器保存装置のような機器の供給
また、倫理的に問題のある方法で入手された臓器に関する研究を行っている臨床研究所もあり、その研究が西洋の医学雑誌に発表されています。
さらに次のような状況があります:
- 中国の外科医が西洋の外科医から訓練を受け、その後、臓器収奪手術を行うために戻っていること
- 移植学会が多くの中国の外科医を会議に招き、そこで学び、知識を共有していること
- 大学が学生を訓練し、その学生が帰国してこうした手術に従事していること
ファイザーやロシュ・ホールディングスは、中国への販売で莫大な利益を上げています。論理と常識から考えて、臓器収奪が大規模に行われており(空港には臓器を迅速に移送するためのレーンさえあります)、かつこれらの製薬会社が大規模に(訳注:免疫抑制剤を)販売しているならば、その供給の一部が臓器収奪に使用されていると疑わざるを得ません。
私たちは最近、英国の新しい調達法の改正案を提出し、企業に対してサプライチェーンのデューデリジェンス(適正手続き)を義務付けようとしましたが、政府はそれが企業にとって過度な負担であるとして反対しました。
2022年に、私のNGO(中国での臓器移植濫用停止ETACネットワーク)は、臓器移植に携わる専門家に対する法的リスクを示す世界初の法律助言を作成するために法律事務所Global Rights Complianceに依頼しました。この助言では、中国が高リスク国であることが記され、専門家が捜査の過程で拘束されないようにするために取るべき措置や、パートナーシップから離れるべきタイミングが示されています。
その助言にはこの分野を規定する国際法が示されており、その要点は以下の通りです。
ある主体が、犯罪の実行に実質的な影響を与える実践的支援や奨励を故意または意図的に提供した場合、その主体は人道に対する罪の実行を幇助し、あるいはその他の支援をしたと見なされます。支援がいつどこで行われたかは問題ではなく、犯罪の実行を支援した限り、その責任を問われます。また、被告が犯罪が発生したときにその場にいなかったとしても、それは免責の理由にはなりません。
おそらく被告側は「犯罪を意図していたわけではなく、その発生は遺憾である」と主張するでしょうが、実際には、支援を提供していることを認識しているべきであったということが示されれば、それで十分です。認識はあらゆる関連状況から推測され得ます。意図的に無知を装う行為が成功を収める可能性は低いでしょう。
したがって、例えば国営病院で勤務しているため臓器収奪に関与する可能性がある臓器移植外科医に対して医療従事者が臨床トレーニングを提供した場合、そのトレーニングは共犯と見なされる可能性があります。臨床トレーニングは犯罪に対して実質的な影響を与えるため、実践的な支援と見なされます。実行される個別の具体的な犯罪案件を被告が知っている必要はありません。
製薬会社の場合、幹部が起訴される可能性もあります。2021年には、フランスの監視機器会社の4人の幹部が、リビアおよびエジプト政府に監視技術を販売し、それを用いて反対派を追跡したため、拷問と強制失踪を助長したとして起訴されました。
したがって、医療機関は極めて慎重でなければなりません。
こうした起訴は、普遍的管轄権の原則を用いて各国の裁判所で行われる可能性があります。
ですから、この分野の医療従事者や医療機関にはリスクが伴います。
こうした個人や企業が起訴を回避する方法としては、協力を始める前に適切なデューデリジェンス(適正な調査)を行うことです。デューデリジェンスを実施したにもかかわらず臓器収奪に巻き込まれた場合、そのデューデリジェンスを行った事実を拠り所として抗弁できるでしょう。
求められるデューデリジェンスには、公開される人権声明や方針の作成、自社内でのスタッフ向けトレーニングの提供、特定のセクターそれぞれに応じた具体的な質問を自社や提携企業に投げかけ、リスクの有無を確認して情報に基づいた判断を下すことが含まれます。
事業中止の目安の例として、以下のようなものがあります。
医学専門誌が研究を受け入れる場合においては、臓器が倫理的に提供されたことを証明する信頼できる証拠がないことや、ドナーの自由意志と十分な同意が得られたことを示す書類がないことが挙げられます。
病院の交換プログラムの場合においては、研修生が臓器収奪を行っていると報告されている病院から来ていること、あるいはその病院があらかじめ待機期間が決まった臓器提供を選択肢として宣伝していることが挙げられます。
企業や個人がデューデリジェンスを行えば、必然的にサプライチェーンは変わり始め、態度も変わり始めるでしょう。中国の医師はもう会議に招待されなくなります。彼らにとってこれらの会議は名誉あるものであり、出席できないことは望まないでしょう。同様に、論文が権威あるジャーナルに掲載されない研究者も、そのことについて心のうちに不満を抱くことでしょう。
中国の医療コミュニティに圧力をかけることが必要不可欠です。中国の医師たちに注目が集まっていることを、彼らに示す必要があります。
変化が始まっています。いくつかの医療機関は重要な動きを見せていますが、依然として全般的には行動に二の足を踏んでいる状況です。
次のステップは、さらなる協力関係を調査し、圧力をかけることです。
情報公開請求を[中国の医療および研究機関と提携している大学に対して]送りました。また、政府資金を受けている大学に関する質問主意書を前政権に送りましたが、その回答は不十分でした。
つまり、政治的な意志が必要です。新しい政府は、共犯関係を防ぐための法整備を支持することで、私たちを支援できます。また、協力関係の実態調査への手助けによって私たちを支援できます。
前回の改正案を通じて企業がサプライチェーンを見直すよう求めたとき、前政権は反対し、「供給品が臓器収奪に使われているという証拠はない」などと言いました。このような反応は非常に有益ではなく、問題に取り組む意志がないことを示していました。当然ながら証拠がないのは、中国が調査を許可せず、企業が現在のところ活動内容を報告する義務も負っていないためです。したがって、新しい政府に私たちを支持してもらう必要があります。
今、すべての人が行動すべきです。医療専門家だけでなく、英国政府もそうです。今、行動しなければ、いずれ機関やそこで働く人々が「人道に対する罪」に関与していると見なされる可能性があり、その影響は計り知れないほど深刻なものとなるでしょう。
英語原文:https://www.zsr.org.uk/Eleanor-Stephenson-speech-5Nov.pdf
エレノア・スティーブンソンー国際刑事法および人権を専門とするイギリスの法廷弁護士。人権NGOであるETAC(中国での臓器移植濫用停止ETACネットワーク)に協力する専門家。









